本日はようこそ令和7年善行寺盂蘭盆会にお参りいただきました。暑い日が続いております。どうぞお身体ご自愛下さい。
さて、現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」は高知県出身の漫画家で詩人のやなせたかしさん(2013年10月13日94歳でご逝去)がモデルです。ドラマの中でやなせさんに関する部分はほぼ事実に基づいて進行しています。1ヶ月前に放送されている時代は戦時中。やなせさんの軍隊生活が描かれています。
やなせさんは大学卒業後、製薬会社でデザイナーとして働いているときに招集され終戦まで5年間を軍隊で過ごしました。その時の体験をやなせさんが語ることは80歳近くになるまでありませんでした。激しい戦いは経験せずに戦争について何かを語ることは申し訳なさを感じたそうです。しかし直接ではなくとも戦争体験はやなせさんの作品に大きな影響を与えています。
軍隊生活の中でやなせさんが一番苦しんだのは飢え。軍隊では理不尽な暴力、またマラリアにかかったり、馬に蹴られたりといのちの危機を何度も体験したそうです。しかし飢えはそれらの経験とは次元が違った苦しみだったそうです。
肉体的な苦痛にはいつかは慣れる。でも若いときの空腹は全く慣れることがない。実際あまりの空腹にタンポポの根を仲間と食べている場面がありました。そしてタンポポの根まで食べ尽くして「もうなにもない」と絶句していた場面が忘れられません。飢えは人間の尊厳を奪うものだと実感したのでした。そんな経験もあって戦争はやなせさんに「正義」とは何かを考えさせました。
「正義は立場違うと簡単に逆転する。兵隊で中国に送られたとき、この戦争は正義の戦いで中国の民衆を救わなきゃいけないと言われた。ところが戦争が終わると、こっちが非常に悪いやつで、侵略していった悪いやつと言うことになるのでしょう。戦争には真の正義はない、しかも逆転する。それならば逆転しない正義とはなにか。はっきりと「ひもじい人をたすけることなんです」という。ヒーローは悪い人をやっつけるけど、ひもじい人を助けるというのはないんだ。だから自分が描くのならひもじい人を助けるヒーローをつくろうと思ったそうです。それがアンパンマンを描き始めた動機なのです」と。
そのよう深い深い思いや願いがアンパンマンを描くにあたってあった。私たちも阿弥陀様のご本願によって生きる原動力となり、そして願いに導かれ育てられる人生です。
■苦悩の中にあっても見捨てられない人生
この私を決して一人にはしない、見捨てないとお誓い下さった願い
■念仏に生きる人生
「南無阿弥陀仏」と称えるということは、阿弥陀様のすくわれる証が私にもう届いている証拠です。お念仏は阿弥陀様の「あなたのいのちを必ずすくう」とはたらきが私に届いた“結果”なのです。
■ 安心と喜びに満ちた人生
私の心の中に安心しよう、大丈夫の心になろうと思って自分の心をいくら探っても安心できる物は何一つありません。阿弥陀さまの手元に安心できるゆわれがあるのです。
お念仏申す中に先にお浄土に参られた皆さまを偲びながら私に向けられた阿弥陀さまの願いというものを聴聞させて頂きましょう。
合掌