住職のコラム(令和7年秋彼岸会 ~お浄土からの気づき~  )


 早いものでもう秋の彼岸を迎えました。まだまだ暑いさなか秋の風景もまだ先でしょうか。その中にあって朝晩は幾分か過ごしやすくなってきたような気がします。

さて「彼岸」とはただ春秋の季節を表す言葉ではなく、「お浄土」を表す大切な仏さまのお言葉です。私たちの住む世界「此岸」から、阿弥陀さまの極楽浄土「彼岸」へ到る道、私のいのちの行く末を訪ねていくことが大切なことです。

 

 ある先生からこのような話を聞いたことがあります。それは仏さまの話を聞く「コツ」です。そのコツは一つしかありませんよというのです。自分の培ってきた人生経験や価値観を一端脇に置いて私のものさしをあてずに、聞こえたまんまをわかろうがわかるまいが「うんうん」と頷きながら聞きましょうね。と言うことでした。例えばお浄土には「八功徳水」という清らかな水に満ちあふれているといいます。その「八功徳水」は清らか、冷たい、美味しい、柔らかい、潤いがある、穏やかで和らぎをもたらす、飲めば飢えや病を癒す、心身の根本を養うと言うのです。よく考えれば喉が渇いたら毎日当たり前のように飲んでいる「お水」のことです。そんな事を考えずに当たり前のように飲んでいますね。そこに大切な功徳をみていかれたのがお釈迦様でした。当たり前のうえには決して「有難さ」や「感動」はありません。そんな頷きがあったならば今、仏さまが気づきをもたらしてくれたというのです。

 

 お浄土へ至る道も南無阿弥陀仏の中に気づいていくことであります。阿弥陀さまは「私のいのちを必ず浄土へ迎え取り仏にする。今、南無阿弥陀仏の喚び声となって私のいのちに届いておるぞ」と私が浄土へ生まれて仏になるという、いのちの行く末さえも阿弥陀さまが仕上げて下さっているお浄土。そう先ではないかもしれません。浄土へ生まれていくいのちを歩んでいるのです。                                                     合掌